日記が助けにならないとき:考えこみと負担のしすぎ

気持ちを書けば必ず楽になるわけではありません。違う質問、もっと短い習慣、人からの支えのほうが安全なこともあります。

日記は手軽で特別な道具もいらないため、リスクが低いと言われがちです。でも、リスクが低いことは、どの質問も、どの人に、どんなときにも合うという意味ではありません。エクスプレッシブ・ライティングの研究には、よい結果も、変化のない結果も、好ましくない結果もあります。

ふりかえりと考えこみは違う

ふりかえりは、何が起きたか、何を感じているか、何が自分でどうにかできるかをはっきりさせます。考えこみ(反すう)は、新しい情報も行動もないまま、同じ結論に戻り続けます。記録の長さだけでは、この2つは区別できません。

実用的な目安は、何回か書いたあとの気分です。書くたびに無力感が強まる、眠れなくなる、ふだんの生活に戻りにくくなる、ということがくり返されるなら、いまはその形式が合っていないのかもしれません。

好ましくない結果は実際にある

パンデミック中に行われたランダム化研究では、エクスプレッシブ・ライティングのグループで、介入のあとに心理的な苦痛とストレスが大きくなり、追跡調査の時点ではグループ間の差はありませんでした。著者らは、不安定な状況で、支えのないセルフケアの方法を機械的に使うことに注意をうながしています。

別の実験では、不安への効果は、参加者がふだんどれくらい感情を表に出すかによって変わりました。感情をあまり出さない参加者では、エクスプレッシブ・ライティングのグループで不安が強まりました。誰にでも当てはまる禁止事項ではありませんが、平均的な効果が全員に合うわけではないことを示しています。

書くことをもっとやさしくする方法

時間を区切り、トラウマになったできごとをくわしく書こうとせず、最後はいまに戻って終えましょう。まわりに何が見えるか、今日は何が助けになりそうか、誰に連絡できるか。必要なら「なぜこんなことが自分に起きたのか」を「いま、自分には何が必要か」に置きかえます。

自由に書くと同じところをぐるぐる回ってしまうなら、事実、感情、体の感覚、いまできる行動、という淡々とした型を使いましょう。書かないと決めることも、立派な選択です。

日記だけでは足りないとき

くり返すパニックの症状、自分を傷つけたいという考え、トラウマの症状、睡眠や日常生活への大きな影響があるときに必要なのは、もっときちんとした日記ではなく、専門家による評価と支援です。

記録は専門家と話す準備に役立つかもしれませんが、それだけを唯一の対処法にする必要はありません。連続記録や記録の完全さより、安全のほうがずっと大切です。

科学的な出典

リンク先は元の論文や科学的なレビューです。研究の結果とその限界を自分で確かめられます

  1. Effectiveness of expressive writing in the reduction of psychological distress during the COVID-19 pandemic: a randomized controlled trial Vukčević Marković M, Bjekić J, Priebe S. Frontiers in Psychology, 2020.
  2. Randomized controlled trial of expressive writing for psychological and physical health: the moderating role of emotional expressivity Niles AN, Haltom KEB, Mulvenna CM, Lieberman MD, Stanton AL. Anxiety, Stress, & Coping, 2014.
  3. Effects of assertiveness training and expressive writing on acculturative stress in international students: a randomized trial Tavakoli S, Lumley MA, Hijazi AM, Slavin-Spenny OM, Parris GP. Journal of Counseling Psychology, 2009.