感謝日記とエクスプレッシブ・ライティング、効果があるのはどっち?

ポジティブなことを書くのと、感情を書くのとでは、目的が違います。研究は、どんな人と状況にも当てはまるひとつの勝者を示していません。

「いいことを書きましょう」は、つらい気持ちをくわしく書くことの正反対のように聞こえます。実際、この2つは別の介入です。一方は大切なことや支えになることに注意を向け、もう一方はつらい経験に近づいて、その意味をつかもうとします。

2つの方法の違い

感謝日記では、たいてい感謝している人、できごと、細かなことを書きます。ポジティブな筆記はもっと幅が広く、楽しかった経験、希望、よかったと思える点なども含みます。

エクスプレッシブ・ライティングでは、決まった時間、ストレスについてのいちばん深い考えと気持ちを書きます。感情面の負担が大きく、その価値は書いた直後の気分だけでは判断できません。

直接比べた研究でわかったこと

大学の相談室に通う293人を対象にした研究では、参加者を「心理療法のみ」「心理療法とエクスプレッシブ・ライティング」「心理療法と感謝の手紙」にランダムに分けました。4週間後と12週間後、感謝のグループはほかの2つのグループより心の健康がよいと答えました。

大事な結果ですが、これは特定の対象者で、心理療法を補う形で書いた場合の話です。不快な経験を正直に書くより、感謝のほうがいつもよいことを証明するものではありません。

メタアナリシスが勝者を決めなかった理由

2023年のシステマティックレビューとメタアナリシスは、さまざまな対象者でエクスプレッシブ・ライティングとポジティブな筆記を比べました。うつ、不安、ストレスについて、2つの方法のあいだに統計的に有意な差は見られませんでした。

気分障害のある人を対象にしたオンラインの試験でも、エクスプレッシブ・ライティング、ポジティブな筆記、時間管理についての中立的な筆記は、ほとんどの結果で差がありませんでした。3つのグループすべてが時間とともに改善しており、信頼できる比較条件がなぜ大切かがよくわかります。

方法の選び方

支えになる細かなことに、そっと注意を向け直したいなら、感謝やポジティブな筆記が合うかもしれません。混乱した経験を言葉にしたいなら、エクスプレッシブ・ライティングが目的に近いかもしれません。ただし、すぐに気持ちが軽くなるとは限りません。

ひとつの方法を、ずっと続けるルールにする必要はありません。期間を短く区切って試し、目的を先に決め、記録の文章のうまさではなく、毎日の暮らしへの影響で判断しましょう。

科学的な出典

リンク先は元の論文や科学的なレビューです。研究の結果とその限界を自分で確かめられます

  1. Does gratitude writing improve the mental health of psychotherapy clients? Evidence from a randomized controlled trial Wong YJ, Owen J, Gabana NT, et al. Psychotherapy Research, 2018.
  2. Efficacy of expressive writing versus positive writing in different populations: systematic review and meta-analysis Lai J, Song H, Wang Y, et al. Nursing Open, 2023.
  3. Expressive writing and positive writing for participants with mood disorders: an online randomized controlled trial Baikie KA, Geerligs L, Wilhelm K. Journal of Affective Disorders, 2012.